目次
探访临沂:狂飙的快手电商之城
山東省の地級都市に登場したライブコマースの拠点「順和直播小鎮」
山東省南部に位置する地級都市・臨沂市(リンイー/りんぎし)には、「順和直播小鎮(順和ライブ配信タウン)」と呼ばれるライブコマースの拠点がある。ここはかつて「順和家居城」というホームセンターで、ハイ~ミドルクラスのインテリアブランドの綺麗な内装が施された店舗が多数入店していた。しかし、2019年5月からテナントの募集の方向性を転換し、それらの店舗をライブ配信スタジオに改装し、ショート動画アプリ「快手(Kuaishou)」のライバーたちへ1㎡あたり0.7元で貸し出した。
5階に入店している“冉冉家女装塔配”。店舗の入口はきっちりと閉ざされ、中では従業員が前日の「快手(Kuaishou)」のライブ配信で受注した1万件の商品を梱包している。以前は臨沂市最大の服装卸売市場・華豊国際商貿城の実店舗で販売していたが、その頃の100倍を上回る受注数だと言う。しかも、快手(Kuaishou)フォロワー数はたった17万人である。
「順和直播小鎮」の4~6階には、“冉冉家”のようにライブコマースへ転向した卸売業者100社あまりが入店している。また臨沂市全体では、このような快手(Kuaishou)ライバーが2000人近く、EC産業パークや独立した作業場に散在する。そのうち10社あまりが、月間GMV(流通取引総額)が2000万元を超えているという。
via mp.weixin.qq.com
卸売業者の生き残りを賭けた「快手ライブコマース」への転向
臨沂市は、雑貨、金物、建材、板材、園芸機械など、27カテゴリー・6万種類の商品を取り扱う131の卸売市場が所在し、全国最大規模の市場の集散地である。かつての市場の盛況ぶりは、卸売市場として名高い浙江省・義烏市(イーウー/ぎうし)と肩を並べ、「南の義烏、北の臨沂」と呼ばれるほどだった。しかし、Eコマースの影響で次第に来店客は減少して窮地に追い込まれ、今では1日の売上が3万件を超えるような快手(Kuaishou)ライバーたちに次第に取って代わられている。
via mp.weixin.qq.com
実店舗の運営に挫折した卸売業者は自らを救うため、早々に行動を起こした。今では“四朶金花”と呼ばれている臨沂市のTOPライバーたちは2016年、WeChat(微信)を利用して商品を販売する「微商(Weishang)」に参入。同年は「タオバオライブ(淘宝直播)」が試行を始めたばかりで、ライブ配信の知名度はまだまだ低かった。また「微商(Weishang)」はタオバオ(淘宝)への出店と比べて参入へのハードルは低く、私域流量と呼ばれるWeChat(微信)のフォロワー数を蓄積するのにも貢献した。
インターネット業界の争いが後半戦に突入した 2017年、各プラットフォームの注目は三、四級都市へと移った。2018年初頭には、「快手(Kuaishou)」が市場の上位を独占し、MAU(月間アクティブユーザー数)は2億人を突破し一歩リードした。爆発的人気を誇るショート動画アプリ「抖音(ドウイン、Tik Tok)」と並べ、“南の抖音、北の快手”と流行語になったほどだ。人口規模という絶対的なアドバンテージで、山東省の快手(Kuaishou)ユーザー数は北部都市トップ3を独占し、中でも臨沂市は同省唯一の1000万人超地級市としてその浸透率も群を抜いていた。
ライブ配信への転向について、臨沂市「有賛(youzan)」公式代理商の「智順科技」の創始者・劉建軍は「これは“自力救済”だ」と言う。彼らはパソコン時代の販売形態を飛び越え、モバイルネットの世界で自身を救済する手段を見つけたのだ。
via mp.weixin.qq.com
「快手EC都市」へと押し上げた臨沂市の物流の優位性
臨沂市では「フォロワー7.7万人=ライブ配信視聴中1000人」と言われるそうだ。これはほかの同規模エリアのライバーのフォロワー数を遥かに上回る。また、同市のフォロワー数10万人のライバーの収入は他都市のフォロワー数300万人のライバーのより上だとも言う。2019年7月に発表された『2019年快手創作者商業価値報告』の全国アクティブフォロワー分布比較を見ると、臨沂市は副省級市のハルビン市に次ぐ第2位である。その背景には他都市には真似し難いユーザーの基盤がある。卸売業者が比較的スムーズにライバーへ転向できたのもこの基盤があったためだ。
via mp.weixin.qq.com
その大きな要因の一つは物流だ。中国“物流の都”と称される臨沂市は、四方八方に交通が発達し、中国北部の重要な交通の中枢に位置する。長江デルタ経済圏と渤海湾経済圏の結合点であり、中国東部における南北を結ぶ交通の枢軸であり、アジアやヨーロッパとのインターフェースであり、そして中国北部最大の市場の集散地、集配センターなのだ。
ライブコマースもこの発達した物流と安い配送料の恩恵に与った。全国平均より30%も低い物流費は同市の商業貿易の基礎を築き、モバイルEC時代の最初のボーナスを獲得できた。例えば、卓球台を上海~ウルムチまで配送するとしよう。直接ウルムチまで配送した場合は15日間・320元かかるが、臨沂市を経由してウルムチへ配送すれば10日間・120元で済む。
臨沂市は急速な発展を遂げ、その名にたがわぬ最初の「快手(Kuaishou)EC都市」となった。政府の支持のもと、民間企業の自主的な転換は加速している。「快手(Kuaishou)」へ公式にショッピングカートサービスを提供する「有賛(youzan)」によると、臨沂市の2019年第1~3四半期の「有賛(youzan)」を通じた「快手(Kuaishou)」の取引額は、山東省全体のの54.97%を占め、都市別ランキングでは全国トップ3に食い込んだ。
早期に「快手(Kuaishou)」に参入した業者は、“ハードルがほぼゼロのライブ配信”+“単純な微商(Weishang)”というモデルで顧客を獲得していった。“冉冉家”も当初は微信(WeChat)で販売し、フォロワーのアカウントを10万近く獲得した。しかし、受注スタッフはフォロワーのニーズに一対一で対応し、商品写真のやり取りや規格の相談、数量と配送先住所の確認、そして手計算やパソコンで受注集計し、商品を一括発送しなければならない。私域流量としてフォロワーは蓄積するものの、受注管理には巨大なコストがかかっていた。
via mp.weixin.qq.com
2018年6月、「快手(Kuaishou)」と「有賛(youzan)」が提携して「ショート動画EC販売ソリューション」を打ち出した。これにより、快手(Kuaishou)ライバーは直接、有賛(youzan)店舗へアクセスできるようになり、ショート動画とライブ配信のマネタイズを実現した。これにより、例えば、臨沂市のトップライバー”大蒙子”は一番多い時で100人近くの受注スタッフを雇用していたが、有賛(youzan)システムを利用してからは15人まで減らし、労働力を効率よく使用できるようになった。以前の微信(WeChat)による受注方式では、一人当たり月6000~7000元の労働コストがかかっていただろうと推測される。
via mp.weixin.qq.com
ライブコマースの発展の裏には、快手ECの人材不足、快手ライバーの自社工場というメリットなど
“大蒙子”は華豊国際商貿城で卸売店舗を10年以上運営、ピーク時には十数店舗あったと言う。2018年7月に「快手(Kuaishou)」に参入した当時は、自宅からライブ配信を行っていたが、3か月間でフォロワー20万人を獲得した後、実店舗の撤退を決意。40㎡の作業場(スタジオ)を借りてライブコマース一本に転換した。2019年6月までの約1年間で4回引っ越し、今では3000㎡もの広さの作業場を借りるほどに事業は拡大、来年には1万㎡の作業場へ引っ越す予定だという。
via mp.weixin.qq.com
もう一人のトップライバー“陶子”は、ライバーの集まる臨谷直播電商産業園(臨谷ライブコマース産業パーク)に5階建、総面積5000㎡の作業場を持つ。2020年には隣の5階建ビルも借りて作業面積を2倍に拡大する計画だ。現在従業員は100名近くいるが、事業拡大に伴い募集中。2018年の初めに「快手(Kuaishou)」で募集告知を出したところ、1日で300人以上の応募が寄せられた。新疆や広州など遠い場所からの応募もあった。臨沂市の快手(Kuaishou)EC人材の給与は、総人口や快手(Kuaishou)ユーザー数が山東省と同等規模である河北省の2倍だという。
それでも臨沂市の快手(Kuaishou)EC人材は大量に不足している。物流管理のほか、梱包や受注などの基礎作業、人事や在庫管理などの管理業務、ショート動画のコンテンツの制作やライブ配信など、様々な人材が不足しており、大手の販売企業の人材争奪戦の対象となっている。ライブコマースが産業として立ち上がる以前は、どのような人材が必要とされるか誰にも分からなかったのだ。
via mp.weixin.qq.com
フォロワー数190万人を持つ“陶子”は、11月1~6日に実施された「快手狂歓節」のセールイベント期間中、2日間で40万件を販売してアパレル部門売上第8位に輝いた。通常の販売数は3~5万件だ。彼女の最近のヒット商品は白のレースカットソーで、「ショッピングセンターなら80元、他のライバーなら39.9元で販売しているところ、私なら送料込みで28.8元で提供できる。自社工場で生産しているので」と言う。
インターネットにより情報の透明化がさらに進み、彼女のように自身で生産・加工工場を所有する臨沂市のライバーたちは、同業他社やプラットフォーム、フォロワーを通じて最新の市場ニーズを理解し、最短で新商品やヒット商品を生産している。その上、中間プロセスを省くことで良質な商品をよりリーズナブに提供できるのだ。これは「快手(Kuaishou)」が商品リソースや低価格にこだわる“優良商品の源”というプラットフォームコンセプトである。実体経済が低迷する中、彼らはサプライチェーンという長年にわたり蓄積してきたリソースを用いて、モバイルネット時代を正確に打開する手段を見出したのだ。
ライブ配信DAUが1億人を超える熾烈な競争、快手ライバーたちの新たな挑戦の始まり
“陶子”がライブ配信を実施するのは毎日夜7時~深夜0時。これはトラフィックの一番多い時間帯で、数多くのライバーたちがトラフィックの争奪戦を繰り広げている。毎日固定した時間にライブ配信を行うことは、トラフィックを維持するための重要な手段ではあるが、あくまで直接的なトラフィックの争奪に過ぎない。ライバーにより問われるのはその専門性や資質である。
via mp.weixin.qq.com
“大蒙子”の夫で会社の裏方業務を管理する劉洋は、「快手(Kuaishou)ECは、キャラ設定と商品をちゃんとするだけでいい」と言う。快手(Kuaishou)ECは簡単に稼げると思われているが、「砸銭秒榜」(フォロワーからギフト・投げ銭を多くもらうほどランキングが上位になるシステム)に参戦したものの、短期間で期待するほどの成果を上げられずに撤退するライバーは多い。
もちろん「砸銭秒榜」で稼げるライバーもいるが、これは新参者がよく陥る罠だという。なぜなら、参戦中は多くの受注や売上を獲得するものの、普段のライブ配信は見てもらえず、フォロワーのリピート購入もなく長続きしないからだ。“陶子”曰く、「いたずらにアカウントや販売商品に傷をつけるくらいなら、着実に少しづつ利益を上げるほうが良い」とのことだ。
トップライバーのアドバンテージはやはり物流と管理の経験に集約されるだろう。かつて、ダブルイレブン(双11)を目前に臨沂市の宅配便の配送料が大幅に値上がりしたことがあった。ほとんどのライバーはそれを受け入れざるを得なかったが、“陶子”は独自の配送ルートを持ち、その配送料は臨沂市の市場価格より低かったと言う。
また、商品のリソースの掌握や価格交渉権も大きなアドバンテージだ。“陶子”は「タオバオで200元以上するファーネックの光沢ダウンコートを89元で販売する」と言う。その低価格の実現の裏には、着実に少しづつ利益を上げるという彼女の考え方に加え、ほかのライバーの仕入価格を下回る販売価格で提供するというトップライバーとしての意地がある。
via mp.weixin.qq.com
しかしながら、劉建軍は「トップライバーの優勢は歴然だが、快手(Kuaishou)ECはどんなライバーにも同等にチャンスがある」と考える。確かにライブコマースにおける商品リソースの重要性は高いが、かつての実店舗での販売と比べれば、キャラ設定や商品の多様性でトップライバーを追い越せる可能性はあるだろう。“陶子”や“大蒙子”も「商品とキャラ設定はどちらも非常に重要な要素だが、キャラ設定の方がより大事」という見解を持っている。
via mp.weixin.qq.com
臨沂市では、タオバオ(淘宝)の販売業者が徐々に「快手(Kuaishou)」に着手し始めている。また、「快手(Kuaishou)」の商業化への重視に伴い、商品やコンテンツに対する審査が一層厳しくなり、早期に参入して成長してきたライバーたちは挑戦を余儀なくされている。『2019年快手直播生態報告』では、「快手(Kuaishou)」のライブ配信のDAU(デイリーアクティブユーザー数)は1億人を超えたと発表。この熾烈な競争にライバーたちはプレッシャーを感じている。“大蒙子”は「快手(Kuaishou)ECはだんだんと難しくなっている。でも総体的には今なお上昇期にある」との見解を示している。
目下、臨沂市ではライブコマースの拠点が4か所開設されている。そのうちの一つである「順和直播小鎮」は、2020年までに約10万㎡ある施設のテナント募集を全面的に終え、同市最大の拠点となる予定だ。2019年11月に高速鉄道が開通し、ライブコマースに転向した卸売業者が数多く入店すれば、新たな活力をもたらすだろう。臨沂市のライブコマースの新たな幕開けは、まだ始まったばかりだ。
-----------元記事の紹介はここまで--------------
如何でしたでしょうか?
WeStock は、広告費不要で2億人にリーチできる中国KOLのECショップネットワークです。※下記は【WeStock】の紹介ページへのリンクです。詳細は下記からご確認ください。
https://www.westock.jp/
化粧品・日用品・健康食品のメーカー様を中心に3,000ブランド以上の販売実績があり、200名以上の著名KOLのネットショップ内に商品の売り場を確保し、中国向け越境ECのマーケティングを全面的に支援しています。
ご質問やご相談、お問い合わせ等ございましたら、以下に必要事項をご入力のうえ、「送信」ボタンを押してください。 「WeStock」の紹介資料も、送信後に自動メールにてご送付させて頂いています。
如何でしたでしょうか?
WeStock は、広告費不要で2億人にリーチできる中国KOLのECショップネットワークです。※下記は【WeStock】の紹介ページへのリンクです。詳細は下記からご確認ください。
https://www.westock.jp/
化粧品・日用品・健康食品のメーカー様を中心に3,000ブランド以上の販売実績があり、200名以上の著名KOLのネットショップ内に商品の売り場を確保し、中国向け越境ECのマーケティングを全面的に支援しています。
ご質問やご相談、お問い合わせ等ございましたら、以下に必要事項をご入力のうえ、「送信」ボタンを押してください。 「WeStock」の紹介資料も、送信後に自動メールにてご送付させて頂いています。