2019年6月14日 更新

【記事コラム】テンセントが大株主の動画共有サイト「ビリビリ(bilibili)」がアリババと資本提携

ソーシャルメディア、ネット通販、スマホ決済など様々な領域で凌ぎを削る中国の2大企業「テンセント(騰訊)」と「アリババ(阿里巴巴)」が、動画共有サイト「ビリビリ(bilibili、中国名:哔哩哔哩)」への出資で手を組んだことが話題を呼んでいます。両社を魅了する「ビリビリ」の魅力と、テンセント・アリババ両社の思惑についてご紹介します。

同时抱上腾讯、阿里两条大腿,B站或成最大赢家?
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「ビリビリ(bilibili)」サイト内の淘宝(タオバ...

「ビリビリ(bilibili)」サイト内の淘宝(タオバオ)公式アカウント

「テンセント」と「アリババ」の両社から出資を受けた「ビリビリ(bilibili)」とは?

2019年2月14日バレンタインデーの当日、昨年10月に「テンセント(騰訊)」から約3億USD(330億円)の出資を受け同社が第2位の株主である動画共有サイトの「ビリビリ(bilibili)」は、「アリババ(阿里巴巴)」とも資本提携したことを発表した。

アリババの完全子会社である「淘宝」がビリビリの株式の約8%に当たる2,400万株を取得し、これにより「アリババ」は、「テンセント」及びビリビリCEOの「陳睿」氏に続く第3株主となる。

インターネット業界において、1つの企業が「テンセント」と「アリババ」の2トップから同時に出資を受けることは非常に稀である。ビリビリの強みであるアニメやゲームなどの“二次元領域”、またYouTuberの様なクリエイターが独自に制作した動画を公開する場として最も支持を受けている「ビリビリ」という動画プラットフォームを、両社が非常に重視している証であると業界関係者は語る。

動画共有サイトとして人気を集める「ビリビリ」だが、昨年に米NASDAQへの上場を果たしたが、早急に解決しなくてはならない問題を抱えている。それは、収益源が偏っているビジネスモデルの危うさで、ビリビリの2018年第3四半期決算報告によると、ゲームの売上高が全体の68.5%を占め、中でも多くの部分をスマホゲームの『Fate/Grand Order』に頼っている。
オンラインゲーム『Fate/Grand Order』

オンラインゲーム『Fate/Grand Order』

売上高は順調に増加しているものの、支出も同時に増えており、営業損失は2.46億元(約39.4億円)で第3四半期の赤字は前期に比べて16%増加しており、このまま突き進むと「ビリビリ」の成長は壁にぶつかり、経営が行き詰まる可能性があると見られている。

昨年10月に「テンセント」と提携した際、ビリビリ董事長の陈睿氏は次のような考えを表明した。

「中国のACG(Animation、Comics、Games)コンテンツが面白くなれば世界中に影響を及ぼすことができ、それが「ビリビリ」が今後期待するところだ。そのためには、更に強力なパートナーが必要で、一緒に夢を実現したい。」

収益の安定化を図るためにビジネスの多角化はビリビリにとって必須であり、オフラインのアニメ展覧会、コンサート、旅行ツアー、映画製作などの新企画コンテンツで広告収入を獲得し、収益力を高めようとしている。

2017年、ビリビリは自前のネット通販ショップ「会員購」をビリビリ内に開設し、フィギュアなどアニメ関連の正規商品を販売すると同時に、ビリビリのロゴが入ったオリジナル商品の販売も展開している。

2大企業が狙う、アニメやゲームなどの“二次元市場”と“ビリビリ”の魅力

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この2年ほどで、アジア圏を中心に大きく拡大している動画サイトでの“二次元市場”は、ユーザー規模が3億を超えた。アニメやゲーム等の二次元コンテンツの供給ルートも徐々に整備されてきており、俄かに大きな市場へと変化している。

また、“Z世代”と呼ばれる1990~2010年生まれの若者たちが消費者として急速に成長し、将来的には消費を牽引する主力軍となるだろう。もしもこの成長市場やユーザー層を獲得できなければ、これからの競争には勝ち残れない。

2018年11月21日に発表されたビリビリの財務報告によると、売上高は10.8億元(172.8憶円)で、第3四半期の段階ですでに昨年度全体の数字を超えている。さらにMAU(月間アクティブユーザー数)は9,270万人、有料会員数は350万人で、昨年比202%増で伸びており、ビリビリの発展スピードには目を見張るものがある。

特に昨年の上場以降は、コンテンツへの戦略的投資などで様々な動きがあり、中国のアニメやゲームの二次元領域において、中国最大のコミュニティ及び動画配信サービスへと成長している。

ユーザーからクリエイターへ、新規ユーザーを呼び込み成長させる「ビリビリ」のグッドサイクル

第1回「BILIBILI POWER UP 2018」

第1回「BILIBILI POWER UP 2018」

アニメ等の“二次元”分野だけでなく、ビリビリのもう一つの強みは、YouTuberの様なクリエイターが独自に制作した動画を公開する場として、中国で最も支持を受けている動画プラットフォームであることだ。

ビリビリのUP主(動画をアップロードするユーザー、動画クリエイターの意味)によって投稿される動画は、プラットフォームのPV全体の89%に及ぶ。2018年第四半期の1カ月の平均投稿者数は57.4万人、投稿されたコンテンツの数は171.6万件で、それぞれ昨年比130%と136%の増加となった。

多数のUP主が創り出すコンテンツは独特の文化を構築し、新規ユーザーをビリビリに引き寄せる良いサイクルが形成されている。新規ユーザーは次第に自分もコンテンツを作ってみたいと思うようになり、他のUP主をフォローしながら、自らもUP主として成長していく。

ビリビリではUP主とユーザーが互いにフォローし合うことで強い感情が生まれ、インタラクティブな成長が育まれる。これは、他の動画プラットフォームではあまり見られることはなく、ビリビリでロイヤリティの高いコミュニティが形成される秘訣はまさにここにあり、「アリババ」や「テンセント」が魅力を感じる重要ポイントだ。

この高いロイヤリティをキープするため、ユーザーのコンテンツ満足度を高めるだけでなく、コンテンツを生み出すUP主に対しても、いかにメリットを感じさせるかが、ビリビリにとって大切なカギとなる。

先月ビリビリは、第1回「BILIBILI POWER UP 2018」を開催し、人気KOLとなったショート動画投稿者を表彰した。他にも、2018年7月からビリビリではテスト的に一部のUP主に、店舗の出店機能を付与している。例えば、芸能人にもファンが多い美食ブロガーUP主の“野食小哥”のアカウントからは、彼がビリビリの動画で紹介した商品が直接購入できるようになっている。
「bilibili」の人気KOL“野食小哥”

「bilibili」の人気KOL“野食小哥”

ビリビリと、テンセント・アリババ両社の思惑は?

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アリババは「ビリビリ」への投資について、次のように方針を語っている。「ビリビリは100万級のフォロワーを持つKOL・インフルエンサー(ここではビリビリに動画投稿するUP主を指す)を多く抱えている。淘宝では彼らに対し、オーダーメイドで全方位的なマネタイズのサポートができると考えている。彼らの特徴にあった商品を共同開発するなどの方法も検討している。」

これに対し、ビリビリCEPの陈睿氏は、「淘宝の巨大プラットフォームの力を借りて、より多くの人にUP主のクリエイティブで上質なコンテンツを見てもらいたい」と語る。
将来のEコマース市場の発展を考えると、ビリビリが魅了する“Z世代”は必ず掌握しなくてはならないターゲットだ。その中で、アニメやゲームなどの“二次元領域”もキーワードの1つとなるだろう。「アリババ」と「テンセント」の2大巨頭は、“二次元領域”にはやや出遅れている感があるため、同分野へ積極的な投資を行っている。

2018年2月に「艾瑞iUserTracker」が発表したデータによると、ネット通販を最も多く利用する層は19~24歳のユーザーで、「淘宝」のアニメ・コミック・ゲームの“二次元市場”成長率は、2018年のW11(ダブルイレブン)で前年対比90%増に達し、“三分妄想”、“喵屋小铺”、“Puppets and Doll”など7つの店舗のオーダー件数は100万件を超えていると言う。アリババとビリビリの今回の資本提携は、アリババが“二次元領域”へ本格進出する序章となるかもしれない。

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