2019年3月1日 更新

【記事コラム】中国春節の“紅包(現金バラマキ)合戦”に「TikTok」も参入、2019年は新旧プラットフォームが入り乱れた大合戦

毎年春節の時期になると注目を集める“紅包”マーケティングは、名実ともに中国の新しい文化となっています。スマホ決済の定着により「微信支付(WeChat Pay)」と「支付宝(アリペイ)による合戦は一段落、2019年は「抖音(TikTok)」等による新しい紅包マーケティングの出現で再び過熱化しています。これまでの紅包合戦と今年注目を集めた紅包マーケティングをご紹介します。

百度抖音搅乱春节红包大战:移动产业格局两年大变样
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春節に展開される“紅包合戦”。2019年は新旧プラットフォームが入り乱れた混戦模様

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中国のお正月にあたる“春節”に家族や親しい人に贈られる“紅包”は日本のお年玉のようなもので、1000年以上続く伝統的な風習だ。現在、その贈り方はインターネット時代に相応しいものへと変化し、贈る対象や目的も多様化している。オンライン産業が発展するにつれ“紅包”は企業のマーケテイングにも取り入れられるようになり、ソーシャルメディアによるライトな交流にフィットするものや、SNSでの口コミによる情報拡散を狙ったものなどが出現。紅包でユーザーの心を掴もうと、各メディアやプラットフォームが凌ぎを削るようになった。

“紅包”を最初にマーケティングに取り入れたのは、2014年に「微信(Wechat)」が実施した“微信紅包”だ。その後毎年春節の時期になると、「微信」を運営するテンセントと「支付宝(アリペイ)」を運営するアリババのモバイルコマース大手2社が、独自の技術や資本力を使ってその実力を誇示する“紅包合戦”を繰り広げてきた。6年経った今、“紅包”のデジタルマーケティングは成長や変化を遂げながら、未だ進化を続けている。

上記2社による春節の紅包合戦はこの2年間はやや落ち着きを見せていたが、2019年は「百度(Baidu)」、「微博(Weibo」、「字節跳動(ByteDance)」等の参戦も注目を集め、特にショート動画関連で凌ぎを削るプラットフォーム「微視(Weishi)」、「抖音(TikTok)」、「快手(Kuaishou)」等による新しい紅包戦略の出現で再び過熱化している。

“紅包”マーケティングの変遷。スマホ決済の定着と共に、「微信」vs.「支付宝」の紅包合戦は下火に

「微信(Wechat)」の紅包

「微信(Wechat)」の紅包

2014年1月27日、「微信(Wechat)」に紅包の送金機能が追加され、「微信紅包」のページから直接電子マネーで“紅包”を送ることが可能となった。送受診記録の確認や現金での引き出し機能等も備わっており、操作が簡単な上、贈り合う楽しさも受けて、“微信紅包”は短期間で広く普及し6億人余りのユーザーが利用した。微信から紅包を送るには銀行のデビットカードが必要なため、“微信紅包”の流行で銀行カードの発行数も大きく増加した。

2015年の春節では、「微信」と中国国営放送の中央電視台が春節の特別番組「春晩」で提携。微信ユーザーは同アプリ内の「発見>シェイク」画面から、協賛企業が提供する総額5億元(80億円)を超える “微信紅包”の 電子マネーを獲得した。微信の公開データによると、春節前日(中国の大晦日)の“微信紅包”リリース回数は10憶1,000回にも及び、20時から翌日0時48分までに“春晩×微信”コラボ企画によるアクセス総数が110憶回に達したという。これにより微信のユーザー数は更に拡大し、「微信支付(Wechat Pay)」の電子決済業務が大きく成長した。

2016年は史上最も激しい紅包合戦が繰り広げられた1年だった。前年の「微信」の成功を教訓に、この年は「支付宝(アリペイ)」が多額の資金を投じて春晩と提携。いよいよ“紅包合戦”加熱の様相を呈する。

2017年は、紅包合戦の主要プレーヤーである「微信」と「支付宝」の両社が冷静な姿勢を示し、共に「今年は新たに特別な対応や“紅包合戦”は行わない」と表明した。

2018年、「微信」は紅包イベントを全てオフラインへと移行。一方の「支付宝」は、既存の“AR(拡張現実)紅包”キャンペーンを継続し、昨年に続き落ち着いた展開となった。
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左記のスクリーンキャプチャは、「支付宝(アリペイ)」が実施したAR技術を使った紅包イベント。

“支付宝五福活動” は、スマホカメラのARモードで5つの「福」の字をスキャンして“紅包”をゲットする。

ARの新技術を使い、ゲーム感覚で楽しめると話題になった。
初期の熾烈な競争から新局面を迎えた紅包合戦は、中国キャッシュレス社会の成長フェーズと密接な関係がある。QRコードによる支払いなど、微信や支付宝によるスマホ決済が定着し市場が落ち着いてくると、当初のようなユーザー獲得(红包マーケティングは、微信支付や支付宝アカウントへ、ユーザーの銀行口座の登録促進が狙いだった)のための紅包マーケティングは、必要性がなくなってきている。

“紅包”戦法の進化。ターゲットの細分化やPV増などを目的に各プラットフォームが新手法

中央電視台と「百度(Baidu)」の「2019春節連歓...

中央電視台と「百度(Baidu)」の「2019春節連歓晩会」提携発表会

上記の様に、2019年の春節はスマホ決済を促進してユーザー数を拡大する初期マーケティングの必要性や効果は薄れている。

一方、「拼多多(Pingduoduo)」や、「抖音(TikTok」等のショート動画プラットフォームの台頭で、ユーザー全体のページビュー(PV)が分散されるようになり、ユーザーを囲い込むための“紅包”の提供が試行錯誤されている。

「微信」と「支付宝」の2大巨頭は、今年の春節紅包を更に進化。「微信」は“ビジネス版微信”で企業から従業員に紅包を送れる機能を追加した。一方の「支付宝」は、インセンティブの付与をフックにソーシャルメディアによる口コミ拡散を狙った紅包マーケティングを取り入れている。

また、BATの一角を担う「百度(Baidu)」が中央電視台の「春晩」と提携。視聴者が百度アプリから各種紅包をゲットできるインタラクティブなお年玉イベントを実施。百度傘下のショート動画プラットフォーム「好看視頻」、コミュニティサイト「百度貼吧」、地図アプリ「百度地図」、金融サービスの「度小满金融」など、百度グループ傘下のユーザー獲得のため紅包マーケティングを実施した。

ショート動画プラットフォームが春節紅包戦火に油を注ぐ

ショート動画プラットフォーム「騰讯微視(Weishi)...

ショート動画プラットフォーム「騰讯微視(Weishi)」の紅包

2018年はショート動画プラットフォームの人気が爆発し、その戦火は2019年春節の紅包合戦にも飛び火した。「微視(Weishi)」、「抖音(TikTok)」、「快手(Kuaishou)」等のショート動画プラットフォームによる現金の“バラマキ”が、今年の春節紅包合戦の主戦場となっている。

テンセント傘下の「騰讯微視(Weishi)」は、個人向け動画プラットフォームで5億元(85億円)の紅包を準備した。ユーザーは同アプリでインタラクティブな“紅包動画”を制作して「微信」や「QQ」等のソーシャルメディアで共有、動画を見た別のユーザーが直接紅包を獲得することができる。他にも「微視」は人気の紅包動画に対して最高88元(1,400円)の現金ギフトを贈ったり、100“いいね”を獲得すると更に100元(1,600円)がもらえる等のインセンティブを用意した。
「抖音(TikTok)」は中央電視台が放送する中国版紅白歌合戦「春晩」で、ショート動画プラットフォームとして初めて独占ライブ配信権を獲得。「TikTok」はオンラインとオフラインのメディアミックスでより多くの人的ネットワークを活性化し、“1億回再生”イベントを展開した。

「TikTok」の紅包マーケティングがユーザーとのコミュニケーションを重視した手法であるのに対し、「快手(Kuaishou)」は新規ユーザー獲得を狙ったものだ。「快手」は今年の春節紅包イベントに6億元(約96億円)を投じ、期間中に快手アプリからライブ配信を見たり、ショート動画を投稿したユーザーに対して一定額の紅包を提供した。他にも友人を誘いグループを作ってイベントに参加すると奨励金を獲得することができ、“簡単”に“シェア”できるのが特徴となり話題を呼んだ。

BATを始め「TikTok」や「快手」など新しく登場したプラットフォームも入り乱れた激しい春節紅包合戦に終わりはなく、その形は多種多様に変化して今後の戦局はさらに複雑化していくだろう。

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