2019年7月3日 更新

【記事コラム】アマゾンが中国EC事業から撤退、失敗要因はどこにあったのか?

4月18日にアマゾンが中国国内向けネット通販事業から撤退すると発表しました。中国EC業界の変化に対応できず、「アリババ」や「京東(JD)」に追い上げられる形で成長市場を後にするアマゾン中国。1994年の中国市場参入から、現在に至るまでのアマゾンの歴史を辿ります。

亚马逊电商败走中国
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アマゾンが中国ネット通販事業撤退、その原因は?

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この15年間は中国Eコマースの黄金期であったが、国際的ネット通販王者のAmazonにとっては失意の15年となった。

4月18日、アマゾンは今後の中国戦略について、海外のアマゾンサイトでの商品購入、グローバルセリング(海外のアマゾンサイトへの商品出品・販売)、電子書籍「キンドル(kindle)」、クラウドコンピューティングサービス(AWS)などのビジネスを中国での主な事業領域とすることを発表。また、自社運営による中国ネット通販事業からの撤退を表明した。

中国市場の不振に相反して他国でのアマゾンの業績は好調で、今年初めの株価は前年比20%の上昇。2018年の営業収入は昨年同期比31%増の2,328.87億ドルで、初めて2,000億ドルを突破した。純利益は昨年比232%増の100.73億ドルで、こちらも初めて100億ドルを超えた。

3年前ならアマゾン中国のサイトをユーザーはすんなり受け入れたはずだが、移り気な中国ユーザーの心を上手くつかんだのは中国のECサイトであった。

アマゾンの中国市場からの撤退はどこに原因があるのだろうか。企業努力が足りなかったのか、それとも中国企業が手強過ぎたのか?アマゾンの中国進出から、撤退に至るまでの歴史を振り返る。

2004~2007年:天下無双のアマゾンが中国市場へ参入

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2004年、中国市場参入を画策していたアマゾンは1.5億ドルを投じて「当当網」の株式取得を試みるが失敗に終わる。そこでアマゾンが次に目を付けたのは、エンジェル投資家の雷軍氏らが1999年に創設した「卓越網」で、7,500万ドルで買収に成功する。

当時のアマゾンの市場価値は160.1億ドル、年間売上は約70億ドルで、あまりに“安い”買い物が大きな話題となった。「卓越網」を手放した雷軍氏は当時の状況を振り返り、「とにかくお金がなかった」と語っている。

アマゾンが中国進出を果たした頃の中国EC市場は、「淘宝(タオバオ)」が設立から1年半、「京東(JD)」がオンラインビジネスをスタートしたばかりであった。向かうところ敵なしのアマゾンと、これら中国企業が戦火を交えるのは、ここからまだ数年先となる。

「卓越網」を手に入れ中国市場に乗り出したアマゾンだが、すべて順風満帆という訳にはいかなかった。外資系大企業が中国へ進出する際、往々にして“水が合わない”と言うことがあり、AOLやYAHOO等の合弁事業も失敗に終わっている。特に中国の出版業界は世界の国々と慣習が異なるため、アマゾンが適応できるかどうかは楽観視できないポイントであった。

アマゾンが買収に失敗した「当当網」CEOの李国慶氏は、「卓越網」買収後のアマゾンの動きについて次のように語っている。

「アマゾンと「卓越網」のビジネスモデルには大きな違いがあり、順調な業務移管や管理統合を行うのに時間がかかった。「卓越網」が「卓越Amazon」に改名され、ドメインが「joyo.com」から「amazon.cn」へ変更されたのは2007年6月で、アマゾンと「卓越網」のデータベースを統合するのに3年もかかっている。

また、2006年10月にアマゾンは「卓越網」サイトをリニューアルし、他国のアマゾンサイトと同様に“シンプルでスタイリッシュ”なデザイン画面に変更した。しかし中国では「淘宝」や「京東」のような、“ごちゃごちゃした賑やか”な画面がより多くの人に好まれ、他国での成功モデルが必ずしも中国で受け入れられる訳ではなかった。」

2008~2013年:アマゾン“らしさ”を打ち出した転換期

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2007~2008年にかけてアマゾンは物流管理に力を入れ、北京・江蘇・広州に総面積8万㎡の倉庫を建設。その“自前”で“豪華”な設備やシステムが注目を集めた。

2008年には電子書籍リーダーのkindleを発売し、2012年までラインアップを充実させながら市場認知を拡大していく。さらに2014年にはAmazon Echoが発売され、ソフトとハードを組み合わせたガジェット製品の販売に乗り出す。

本来の強みを活かし個性を発揮し始めたアマゾンだが、この頃から中国本土のECサイトが徐々に頭角を現し始め、「淘宝」の2008年の売上高が1,000億元(約1兆6千億円)に迫る。中国企業の台頭は、アマゾンが中国消費者を意識した現地化や市場への適応が求められるフェーズに突入したことを意味していたが、世界的な巨大企業はそこに気づき対応するのが遅すぎた。

2008年の中国EC市場におけるアマゾンのシェアは15.4%となる。これまでアマゾンは全世界でEC業務の宣伝をしてこなかったが、ここに来て初めて中国でドメイン名「z.cn」をPRする広告を打ち出す。しかしこの広告で期待した効果は得られず、売上増加には結びつかなかった。

中国市場では、世界で広く受け入れているアマゾン“らしさ”よりも、中国の消費者が馴染みやすい文化や価値観がある。サイトデザイン、人材流出、価格競争、サービスなど様々な面でアマゾンは試練に直面する。

中国では「淘宝」等のサイトに見られるような美加工修正や誇張された画像掲載が習慣化しており、誇大表示やユーザー評価の操作で関心を引く中国サイトに比べて、あまり修正を加えずに商品の実物に近いイメージ画像をそのまま掲載するアマゾンのやり方は、実直過ぎて寧ろユーザーに受け入れられないという皮肉な結果となった。

2010年、アマゾン中国では人材の流出も大きな痛手となる。アマゾン書籍事業の副CEO・石涛氏がライバル企業の「京東(JD)」へ移り、書籍及び映像関連業務を立ち上げると多くの市場シェアが奪われた。

2011年10月、「卓越Amazon」は「Amazon中国」へ名前を変え、再出発の決意を新たにする。しかし2012年になると、国内ECサイトでは激しい価格競争が勃発し、「京東」、「蘇寧(Suning)」、「国美(Gome)」など多くのサイトが低価格路線を打ち出した。過熱した価格競争に対し法的な規制も行われたが、「淘宝」や「京東」が華々しく開催する“W11(ダブルイレブン)”や“618”の大セールが恒例行事となり、アマゾンの存在感は次第に薄れていく。

アマゾン中国に6年間勤務していたある社員は、これまでを振り返り次のように語る。

「アマゾンに対する外部からの評価は相変わらず、“中国に合っていない”というものだった。物流業界はかつて“サービス第一”を掲げ、顧客に笑顔で「ニーハオ」や「ザイジェン」の挨拶をすることを配達員に強要していた。しかし中国の消費者は、配達スピードや商品価格に比べてサービスに対する期待値はそれほど高くなく、このようなやり方は海外では通用しても中国では必ずしも通用しない。

当初のアマゾンの経営戦略は伝統的なやり方に則ったもので、年間を通じて商品価格に大きな変化がなかった。「京東」や「天猫(Tmall)」が“〇〇節”を設けて大セールを打ち出す中で、アマゾンは打つ手もなく市場占有率を落としていった。特に2017年中旬以降の1年余りの間にアマゾンのEC業務は大きな打撃を受け、現在のシェアは1%以下にまで落ち込んでいる。」

2014~2019年:中国企業の追い上げ、アマゾンは市場変化のスピードに対応できず撤退へ

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2014年のEC業界の2大ニュースは、越境ECの解禁と、「アリババ」と「京東」の米国ナスダック市場への上場だ。

越境ECの解禁に伴い、アリババは同年2月に「天猫国際」をリリース。2015年には「网易考拉(kaola)」や「京東全球購」の越境ECサイトも新設され、海外輸入商品を取り扱うサイトが次々と登場する。2016年第四半期には「天猫国際」と「淘宝全球購」のシェアがそれぞれ18.9%と15.4%を占め、アリババグループが1位と2位を独占。3位は「京東全球購」、4位は「网易考拉」で中国勢が越境EC事業の上位を独占し、「アマゾン」のシェアは6.6%の6位であった。

2014年8月にアマゾンの新CEOに就任した葛道远氏は、同年11月にアマゾンの海外販売業務を正式に開始することを表明。当時の記者会見で「なぜ今年になるまで中国の越境EC業務に進出しなかったのですか?」という質問に対し、「アマゾンは多くの時間を費やし、米国アマゾンのモデルが中国では通用しないことがやっと分かった」と回答している。

またこの年、上場で巨額の運営資金を調達した「アリババ」と「京東」が中国市場への投資を拡大する一方、アマゾンはそれに逆行するかのように利益率を高める守りの戦略を開始する。

アマゾン小売部門の方鵬氏は、「この数年間でアマゾン中国は小売部門の商品アイテム数を減らし始めた。儲からない業務や売れない商品をカットし、利益率の高い商品に集中するのが狙いであった」と明らかにした。この戦略によりアマゾンの利益率は上昇したが、サイトのPV数は減少した。
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2014年は他にもEC業界にとって大きな変化があった。情報伝達チャネルがPCからスマートフォンへと変わり、「淘宝」や「京東」などの大手サイトが次々とアプリへの移行を始める。

2015年になると、「拼多多(Pinduoduo)」に代表される新型ECアプリが登場。「微信(Wechat)」やアプリを使ったソーシャルコマースの新形態が出現し、Eコマースの主戦場は移動端末へと場所を変えた。

アマゾンはこれらの変化に対応するスピードが遅く、どんな小さな改訂にもいちいち時間がかかる。その理由は、アマゾンのアプリが1国への対応ではなく世界レベルで行われているからで、他への影響を考慮する必要があるからだ。アマゾン小売部門の方鵬氏は「これは多くの外資系企業に共通する“外資病”だ」と言う。

2019年3月、「アリババ」は46.65億元を投じて申通快递の14.65%の株式を取得し、中国の大手物流会社のほぼ全てを傘下に収めた。「京東」の物流網も中国全土をカバーしており、アマゾンが誇る物流システムに、もはや優位性はなくなった。

アマゾンの中国におけるこの15年間は中国Eコマース業界の黎明と共にあり、外資企業が中国市場を席巻し、中国の地場企業が巨人を凌駕する歴史でもあった。今日に至るまでのアマゾンの中国進出と撤退は、1つのビジネスのケーススタディとして完結しようとしているが、中国Eコマースの未来はまだ何も終わっていない。
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