2019年7月3日 更新

【記事コラム】中国のKOL経済圏、これまでの歴史を振り返ってみる

KOL経済圏(KOLの言動でファンの消費が喚起され、経済活動が行われること)が市場に与える影響は2兆元(約32兆円)に及ぶという見積もりもあり、この額は2017年の香港のGDPに相当するそうです。これまでのKOLの歴史をマーケティングの視点から振り返ってみます。

インターネットデータのリサーチ会社「iResearch」と「新浪微博(Weibo)」が共同でまとめ発表した《2018中国网红经济发展洞察报告》によると、2018年5月時点で中国内のインフルエンサー”KOL”のファン数は5.88億人に達したと記されています。

KOL経済圏(KOLの言動でファンの消費が喚起され、経済活動が行われること)が市場に与える影響は2兆元(約32兆円)に及ぶという見積もりもあり、この額は2017年の香港のGDPに相当するそうです。

ここまで大きな影響力を持つことになったKOL経済圏ですが、ソーシャルメディアを通じて高い影響力を持つ個人、つまりKOLにも時代によって大きな移り変わりが見られます。これまでのKOLの歴史をマーケティングの視点から振り返る記事があったので、ご紹介させて頂きます!
从1994—2018:浅析中国网红营销发展史
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初代ワンホン【ネット小説家】

1994年4月20日中国でのインターネット時代が正式に始まった。WechatやQQなどソーシャルメディアもなく、連絡手段はEメール。今後インターネットが生活上にどのような影響をもたらすのか想像もつかなかった時代。しかしインターネットの世界にのめりこむ人たちも多かった。
90年代は文章で表現する時代。限られたテクノロジーの中で、ネットユーザーは文字のみでしか自分を表現することができなかった。彼らはネット上の掲示板(BBS)や文学サイトで小説を投稿したり、投稿されている小説を読んだりして楽しんだ。ネット上で顔が見られなかった当時、文才だけで読者ユーザーたちは作者に魅かれていった。

1998年、あるネット恋愛小説《第一次的亲密接触(初めての親密な接触)》が世に出るとすぐにネットの掲示板に転載され、たくさんの読者に薦めらた。作者の痞子蔡もワンホンとして右に出るものはいないほどの人気者となった。この作品は書籍化され、出版されると台湾で50万冊売れるほどの大ベストセラーとなり、3ヶ月で痞子蔡が得た印税は100万台湾ドル(約400万円)にもなったという。
大ヒットネット小説《第一次的亲密接触》作者の痞子蔡と書籍版

大ヒットネット小説《第一次的亲密接触》作者の痞子蔡と書籍版

ネットやテレビで露出し始める【メディア・広告出演で稼ぐワンホン】

2000年以降インターネットテクノロジーの進化により、ネット上で画像が楽しめる時代に。ネット人口は増え、自虐ネタやあえてダサさを見せ注目を集めるワンホンが増えていった。

2004年、”芙蓉姉さん”の愛称で呼ばれていた史恒侠が豊満な体でS字を造る写真を公開し、人気を集めた。しかしネット上で人気のワンホンは俳優やアイドルのように多数の人から支持されているわけではないため、人気は長続きしないだろうと思われていた。

ワンホンが商業に関わり始めたのもこの時期から。当時のメディアによると芙蓉姉さんも広告などに出演しており、出演料は1回につき20万元(約320万円)前後だったという。彼女が奇妙な身体の動きをして注目を浴びていたように、自らの特技、特徴を発揮しテレビ番組などに出演することが、ワンホンのお金を稼ぐ方法になっていた。
体で”S字”を造る芙蓉

体で”S字”を造る芙蓉

見た目が重視される時代に【SNSから生まれるワンホン】

2009年8月に新浪Weibo開設。SNSが主流になる時代の幕開けである。“美男美女は正義”という風潮ができ、ミルクティーを持った写真をQQに投稿したことで人気となった章沢天など、SNSをきっかけにワンホンとなるきれいな女性が続出した。

Weiboを始めとするSNSからワンホンが誕生しやすい理由は3つあげられる。

①SNSは誰でも利用できるので、誰にでも自分を表現できる機会がある。Weiboをきっかけにワンホンになる人も多く、ワンホンの数が急増した。

②匿名性の高かった掲示板とは違い、Weiboは自分の写真を掲載できるなど、表現の自由が増えたため個人的な魅力がより表現できるようになった。面白い投稿やワンホンの美しさに惹きつけられるファンも多くなってくる。

③SNS上でお互いの投稿にコメントができるため、よりフォロワーとのコミュニケーションの機会も増える。そういったワンホンとの親密なコミュニケーションを通してフォロワーの好感度も強くなり、ファンのコミュニティも形成される。これがのちのKOL商業効果へとつながっていく。
章沢天の人気のきっかけとなった写真

章沢天の人気のきっかけとなった写真

EC界に影響を与える【新ワンホン”KOL”】

2011年から2013年にかけてWeiboは急成長を遂げる。わずか3年でユーザー数は1億人から5億人へ。このころからECサイトもSNS上でフォロワーが多いワンホンたちに目を向け始め、彼女たちを通じた製品訴求を始める。SNS上のワンホンは多大な経済的効果をもたらすようになり、”インフルエンサー”(KOL)と呼ばれるようになる。

2014年、淘宝のアパレル系サプライチェーンを強みとして事業展開していた「如涵」がKOLコマースを始める。張大奕と契約し、淘宝にて彼女の店舗を開設。KOLのプロモーション効果を利用した淘宝での新しいビジネスが誕生。

KOLはWeiboでサンプル品を試着した写真を掲載する。その写真を見たファンからすぐに反応を見ることができ、反応が良ければ生産へと移る。従来は販売してから初めて消費者の感想を聞ける流れだったのが、Weiboを通じて生産に入る前に反応や改善点を知ることができる上に、たくさんのユーザーから信頼を受けているKOLの効果により消費者の購買意欲も高めることができる。そうすることで生産コストも抑えられ、無駄な在庫も減らせる。前までユーザーたちは自ら商品を検索し買うかどうかを決めていたが、KOLが紹介しているというだけで購入を即決できるようになった。

2014年のダブルイレブンには7つのKOLの店舗が販売数トップ10入りを果たした。2015年アリババのCEO張勇倡が“KOL経済”を支持。張大奕の店铺の売上額が1000万元(約1億6000万円)を突破。年間売り上げは3億元(約48億円)に上る。

2016年も数々のKOL店が記録的な売り上げを達成。楊霞の化粧品店はオープン記念日に9分で売り上げ100万元(約1600万円)達成、虫虫の化粧品店は年間流通総額が4000万元(約6億5000万円)達成、張大奕はダブルイレブン1日で1億元(約16億円)の売り上げを突破。
張大奕の淘宝店

張大奕の淘宝店

大きな影響力を持つKOL経済圏、プロモーションのプランニングから外すことができない

KOLマーケティングは幅広いカテゴリーのブランドや製品において多大な利益をもたらしている。衣食住、化粧品、ベビー・マタニティ用品、ゲームなど日常生活で触れている用品にはすべてKOLマーケティングが関わっている。

2016年8月、張大奕とセルフィースマホが好評のMEITUがコラボレーションしたスマホを数量限定2000台で販売。一台2699元のこのスマホは1分足らずで即完売した。その他下着や化粧品など多数のブランドにもKOLの影響力が多大な利益をもたらしている。

2017年7月には黎贝卡がWechatの公式アカウントにてミニクーパー カリビアンアクアの100台限定販売を告知、わずか5分で完売した。
黎贝卡とミニクーパー

黎贝卡とミニクーパー

2018年7月Wカップ開催の期間、如涵の傘下で20人ほどのKOLが会員制の化粧品専門オンラインショップ海豚家で「フランスが優勝したらフランスブランド化粧品の購入金額を全額返金する」というキャンペーンを実施する旨を告知。

海豚家の会員は激増し、フランスブランド化粧品も爆発的に売れた。海豚家で販売されているブランドは合計5400万回リツイートされた。
KOL虫虫のWeiboでの投稿

KOL虫虫のWeiboでの投稿

またKOLを使った広告は一般の広告よりも効果が高いとされている。不特定多数の人に向けた一般の広告とは違い、ソーシャルメディアならユーザーの性別や年齢層、興味などを把握できるため、よりターゲットをしぼってアプローチできる。

番組や動画の間に挟まれる広告はあまり好まれないが、2017年のiResearchのデータによると、89.8%のネットユーザーがソーシャルメディアの広告なら受け入れられると言っている。またKOLのファンは多く存在するため、KOLがオススメするだけで購入するというユーザーも多い。

いつの時代にもネット上での人気者は存在する。ソーシャルメディアの台頭により彼女たちが与える影響力は拡大していき、今では何兆円もの利益をもたらすまでに発展した。KOLの影響力は今後益々大きくなり、ソーシャルメディアを活用したKOLマーケティングは更なる経済効果をもたらしていくだろう。
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