2019年7月12日 更新

【記事コラム】10周年を迎えた動画プラットフォーム「ビリビリ動画」の歴史を振り返る

米国ナスダック上場企業で、中国上海に本社を置く動画配信サービス企業嗶哩嗶哩(bilibili、ビリビリ)が、創立10周年を迎えた。10年間で二次元向けの小さなサイトから中国の次世代エンターテインメントプラットホームとなった「ビリビリ動画」がどのような成長の道のりを辿ってきたのか、そして今ビリビリが直面している問題をご紹介します。

B站的十年归零
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ビリビリ動画の影響力とは?

ビリビリ動画が盛り上がる一方で、ビリビリ文化は衰退している?

2017年11月初旬、司会者撒贝宁のインタビュー番組が微博熱捜に掲載されました。その理由は、その番組で有名な俳優”江珊”が、映画監督”鄭暁龍”はWeChatすら使えない「网盲(ITリテラシーの低い人)」であることを暴露した後、司会者がその場で鄭暁龍監督が本当に「ネットの流行文化」について知らないかどうかをテストしたところ、それが視聴者に受け番組の人気企画となりました。

また番組の放送後、この時の暴露とテストシーンだけを編集したオムニバスが流されると、微博の営業号では、当時の最も人気のあった「世代間ギャップ」などの話題と結びつけた記事「网盲(ITリテラシーの低い人)との交流はどんな体験?」が発表され、10 万を超える閲覧数が集まった。
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今回番組で取り上げられた「ネット流行語」とは、元は二次元ワードから派生したものである。司会者や視聴者が二次元に詳しいのではなく、認知度はいたって正常で最近では二次元ワードの普及に伴い、異次元文化が少数の人々のものから大衆のものへと徐々に変化し、三次元に登場する頻度や普及率も上昇を続けており、ビリビリ動画が火付け役とされている。

しかし、大衆に普及した二次元ワードだが、中国でのサブカルチャーやACG(アニメ、漫画、ゲーム)について理解している人はやはりまだ少数で、この番組の司会者でさえ上手く説明できないだろう。

実際のところ、ビリビリはどれほどの影響力があるのか。そしてビリビリが有名になるほど、ビリビリ文化は衰退してしまうのか。

01.ビリビリ動画の人気は確かなもの

ここ一週間のビリビリの盛り上がりは、アニメ版「三体」からきているだろう。

6月26日ビリビリ10周年の現場で、原作者の劉慈欣氏を代表とし、"游族影业"傘下の三体宇宙スタジオと三体アニメーション制作の"術画開天"とビリビリが、正式に「三体」のアニメ製作を開始するというニュースと共に、概念版のPVを発表した。このニュースはたちまち爆発的な注目が集まり、“ビリビリ動画10周年”のイベントにとって最もホットな話題として世論を騒がせた。

中国版Twitter微博のトピックを例にあげると、ビリビリ10周年のメイントピックである「#ビリビリ動画十周年#」の閲覧数は3億で、サブトピックである「#ビリビリ動画の三体アニメ化#」では1.7億に達しその注目度がうかがえる。
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ビリビリの「三体」のアニメ化によって起こった爆発は、ビリビリ動画によるものなのか、それとも「三体」の人気によるものなのか、その判断は極めて難しい。

微博のトピックの閲覧数を例に挙げると、#三体#の閲覧数は2.1億で、今年5月のドラマ版「三体」のクランクインが間近に迫っていることで出来上がったトピック#三体将拍电视剧(三体がドラマ化する)#では1.2億の閲覧数を獲得しているが、ビリビリに関するトピックの項目の中で、誕生したばかりの2つの超話(微博のサービスの一つでホットな話題として選ばれたワード)を除いた、#ビリビリ動画#でのトピックの閲覧数は2700万程度だ。
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簡単にいうと、ビリビリの「三体」アニメ化がバズったのには「三体」自体の人気が大きく影響しているということだ。たとえビリビリではなく別の中国の動画プラットフォーム优酷、土豆、爱奇艺などが発表したとしても同様に盛り上がりを見せたはずだ。そしてビリビリは、「ビリビリの三体アニメ化」が話題になる過程で、ビリビリカルチャーの最大の特徴であるはずの”二次元”という要素をなくしてしまっているという。

ビリビリの既存ユーザー : 「これは二次元じゃない」


しかし、たとえ二次元でなくても、便乗だったとしても、繰り返し証明されてきた事実がある。
ビリビリの強みであるアニメやゲームなどの“二次元領域”のコンテンツを最優先にすることで、ビリビリへの注目度は自然とある程度はついてくるが、一方で非二次元界向けのホットな話題を配信することでより多くの国民の世論を引き寄せることが可能になる。そして既にそれは多くの実例が証明している。”六学(儒教の基本的な6つの経典のひとつ)”もそのうちのひとつだ。
ビリビリの「六学」の動画は中国全土で広く拡散されている。「六学」を学ぶ際に、ユーザーは皆ビリビリの動画を選んでいる。知乎(中国最大級の知恵袋)や、微博のコミュニティなどにも「六学」の投稿があるが、どれもビリビリの動画から断片やスクリーンショットを切り取り、使用している。ビリビリでは莫大な情報や資料を動画で分かりやすくまとめており、それはビリビリだからこその利点である。
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多くの国民によって選ばれた「六学」のようなホットな話題を育て上げることは悪いことじゃないはずだ。確かに、大衆的な文脈に偏った話題はビリビリの本来持つべき核心的価値からは逸脱しているが、少数派の二次元界向けだったビリビリは、現在、非二次元界をも席巻する、最も代表的なプラットフォームに成長しているのだ。ある程度の批判は目をつぶるべきなのかもしれない。

そして、ビリビリには「六学」以上のホットスポットも誕生している。例えば、去年のビリビリ9周年の祭に、「Fate/Grand Order」が9周年イベントから除外されたことや、ゲームの登場人物の著作権の問題によりビリビリ主催の萌戦が中止になった事件などが” 热搜”にランクインしている。

得意分野を通じて人々の関心を得ることができず、ホットな話題を共有することでしか人々の目に留まらない。これはコンテンツやカルチャーを主体としている商品にとっては恐ろしい苦境なのである。

02.ビリビリ動画は確かに疲労困憊しているようだ

ビリビリの現在の「大衆化」の運営戦略は、核心業務の基盤となるACG(アニメ、漫画、ゲーム)に関しては、まだまだ力不足といえる。
ゲーム方面では、ビリビリが5月に発表したばかりの2019年度第1四半期の決算の内訳では、モバイルゲーム事業の売上高は8.735億元で、全体の売上高は63.6%を占め、増幅は27%に達し、ビリビリの売上高の主力となったその一方で、中国でのライセンスを持つモバイルゲーム「Fate/Grand Order」による収入は、売上高全体の63.6%を占めた。同タイトルが業績に大きく貢献する一方、ゲーム業界は収益が不安定なため、依存度の高さはリスクとも言える。
2017年末にビリビリが発表した上場投資書では、当時ビリビリは独占で代理運営する計8つのスマホゲームと1つの自社開発のスマホゲームを運営していましたが、この9つのゲームの市場フィードバックには偏りが。「Fate/Grand Order」が総収入の71.8%、「アズールレーン(碧蓝航线)」では12.7%、そのほか全ての商品を足しても15.5%程度だ。

そしてこの現状は2019年になってもほとんど変わっていない。ビリビリ公式サイトが発表した2019年度第1四半期の決算から分かるように、モバイルゲームの収入の増幅は主にスマホゲーム「Fate/Grand Order」の人気によるもので、2019年2月初めにはChapter 2.0の重大な内容の更新を発表している。
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アニメ・映画の制作に関しては、やや楽観的かもしれません。
2015年から、ビリビリはAGC産業のベンチャー企業の育成を目標とした、大規模な投資を次々行っている。メディア「娯楽資本論」の統計によると、2018年11月までに、ビリビリは合計55社の対外投資を行い、アニメコンテンツの制作、アニメ著作権運営、娯楽マーケティングなど各方面の支援をしている。そして投資を通じて、絵梦アニメーションと《一人之下》、《狐妖小红娘》などの人気作品を誕生させました。
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一方で、これはビリビリにとって悩みの種でもあります。確かに、投資や買収合併などを通じて潜在力のあるACG産業の創業者を支援することは、会社経営を維持し、ビジネス拡大の道を歩いていくために必要な戦略です。しかし、この戦略はまず第一に資本がなければいけません。

実際、隠れた懸念は既にさまざまな場面で生じているようだ。例えば、2017年7月、ビリビリはサイト内の多くの海外ドラマを撤去し、ユーザーへ大きな衝撃を与えた。楽しみにしていたドラマが一夜経って全部見れなくなったのだからショックは大きく、ネット上ではこの件に関して多くの苦情が寄せられているが、運営側からすると致し方のないことのようだ。ビリビリはさらにユーザーを失わないために、著作権の問題を解決することが大きな課題となっている。
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上記の件で想像できる原因としては、ビリビリ以上に資本のある投資家が「二次元コンテンツ」と言われるサブカルチャー分野の独り占めを阻止しようとしたと考えられるが、ビリビリの投資を通じて確立された産業障壁を破ることができなかったようだ。しかし、動画コンテンツの著作権問題解決には多大な資金が必要となり、収益源の拡大と多角化は今後の重要な課題となっている。

もちろんビリビリも対応策を考えていないわけではない。

例えば、ビリビリは映画業界でも利益を得ようとし、2015年の年末に上海尚世影业有限公司(SMG Pictures)等の会社と共同で、ビリビリ映画業有限公司(BiliBili Pictures)を設立させた。当時のビリビリの最重要人物であるHANKも参加し、Bilibili Macro Link(ビリビリが主催する同好会)で「アニメ大映画」計画が進められました。

しかし、映画業界の敷居は明らかに高く、これまでとは全く別次元だ。

少なくとも今日のタイムラインを見る限り、ビリビリの映画産業は、映画のプロデューサーまたはインポーターとして登場しているだけで、冒頭の「三体」も例外ではない。

03. ビリビリ動画10周年、誰と乾杯する?

ビリビリ動画はもちろん高い能力を持っている

ビリビリの春節年越し放送「2018 bilibili拜年祭」で、ビリビリはわざといくつかの番組に手がかりになるようなおまけ映像を設置した。オープニングアニメ《十二生肖排班表的故事》と、これらの小さな手がかりを組み合わせると八卦(中国古代の占いに用いたもの)の図を完成させることができる。この八卦をみると、“乾离巽兑艮震坎坤=111101110011100001010000”という数字が出てくるので、それを換算機で換算し10進数(0から9までの10個の数字)「16201808」を見つけ出すのだ。

そうして見つけた「16201808」は、ビリビリの動画番号を示しており、「2018 bilibili拜年祭」ための特別な動画で、内容は長さ10分程度のアニメの短編映画だった。
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ビリビリの今回の試みは本当に素晴らしかった。春節の伝統文化や雰囲気を出すだけでなく、ビリビリで人気の推理や頭を使うようなテーマがユーザーにもマッチしていた。また、洗練されたアニメ制作のレベルも加わり、一年が経っても、多くのビリビリユーザーに深い印象を残しました。

しかし一方で、そのような素晴らしいアニメの短編映画も国民の世論でホットスポットになっていない。人々はそれ以上に呉亦凡の新年の挨拶や、アニメ好き俳優の陳坤氏の論破、大晦日の夜のビリビリへの大規模なDDoS攻撃などに関心があるようです。
そしておそらくこれはビリビリが歩んできた10年間で、最も重要な問題だ。

ビリビリのユーザーとは一体誰なのか?
ビリビリを定義するのに適しているのは誰なのか?
ビリビリは10年の時間をかけて、ゼロに戻る道を歩いてきてはいないだろうか。

ビリビリが理想的な答えを見つけることができるかどうかは誰にもわかりませんし、市場がビリビリに答えを出す意思があるのかも誰にもわかりません。しかし1つ確かなことは、中国のソーシャルネットワークでは、2種類のビリビリがあるということだ。

一つは、消費者の関心に標準を絞った製品で、同じ趣味を通じてユーザーが製品内部に集まってくる。製品の機能構造及び運営方式の設計においても、できる限りユーザーの興味に基づいた構成を進め「ニーズの細分化」を実現することで、不必要な情報を減少させることができるというものだ。

もうひとつは、ユーザーが製品や運営に影響を与える主体となるマーケットインで、「どうすればユーザーに刺激を与えられるか」を重視することでよりニーズのある製品作りや、運営方法の再設計を行っている。

なにが二次元なのか、誰がビリビリを生存させることができるのかについては、もうすでに不可逆的な答えがあるようだ。
-----------元記事の紹介はここまで--------------

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