2019年9月10日 更新

【記事コラム】わずか半年前にAmazon中国の買収を画策した「Kaola(コアラ、网易考拉)」をアリババへ身売り。ネットイースグループ、及びKaolaに一体何が起こったのか?

9月6日「阿里巴巴(アリババ)」による越境ECサイト「Kaola(コアラ、网易考拉)」の買収が話題を呼びました。「Kaola」は今年2月に「Amazon中国」の買収を画策したことでもニュースに取り上げられましたが、中国大手オンラインゲーム会社のネットイースが運営する中国の越境EC市場でシェアナンバー1のプラットフォームです。“買”から“売”へ転じた急変の背景には一体何があったのでしょうか?

从“收购亚马逊中国”到被阿里收购,网易考拉发生了 什么?

阿里巴巴(アリババ)の「Kaola(コアラ、网易考拉)」買収

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9月6日、中国のインターネットサービス会社であるネットイース傘下の越境ECサイト「Kaola(コアラ、网易考拉)」が、20億ドルで阿里巴巴(アリババ)に買収された。「Kaola」はわずか半年前にAmazon中国の買収でサプライチェーンの強化を画策していたが、今回のアリババへの売却で、“買”から“売”への急激な方針転換に、社員の間で大きな動揺が広がっている。

「Kaola」は買収される直前まで越境ECレースの先頭を走っていた。艾媒咨询(iiMedia Research)が発表した『2019上半年中国跨境电商市场研究报告(2019上半期中国越境EC研究報告)』では、2位の「天猫国際」を2%を上回り、27.7%のシェアで首位を獲得している。

それだけでなく、直近の今年第2四半期の業績において、「Kaola」の売上高、仕入れ及び運営効率はいずれも上昇しており、粗利益額は昨年比及び前期比ともに増加していた。

「Kaola」の元社員は、「このタイミングで資産整理を選択した丁磊CEOには、きっと何か考えがあるに違いない」と語り、次のように分析している。

ネットイースのグループ全体から見ると、「Kaola」の売上げが占める割合は年々大きくなっていく一方で、「Kaola」はこれまでずっと本当の意味での利益を出せていない。また、2018年第4四半期の「Kaola」の粗利益率は10%を下回り、60%以上の粗利益率を維持しているゲーム事業と比べると、収益効率が著しく悪い。

ネットイースグループにおける「Kaola」の位置づけ:“希望の星”から売却まで

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「Kaola」はネットイースグループにおけるゲーム事業の次の切り札として期待され、2014年末に誕生した。

「Kaola」の元社員によると、立ち上げ時、「Kaola」CEOの丁磊氏は自ら率先して販売商品の選定を行ったり、ロジスティックまわりでも海外倉庫の建設場所の選定など、現場のディテール業務にも目を光らせ、現場社員を戦々恐々とさせたという。越境ECサイト「Kaola」が2015年1月にリリースされると、その年のネットイースグループの決算発表では、「Kaola」が含まれる事業ドメイン「メールボックス、EC及びその他業務」の売上が36.99億元(約550億円)と前年対比で3倍近くに跳ね上がった。
「Kaola」のリリースにより、ネットイースグループの売上は再び急速に増加に転じ、「Kaola」とスマホゲーム『夢幻西游』や『陰陽師』の爆発的ヒットも寄与し、2015年グループ全体の売上は前年対比で94.7%増、2010年以来の最高水準となった。

2016年以降は、「Kaola」がネットイースグループの成長エンジンとなり、総売上の11.9%を占めるまでになり、2018年には28.64%に達した。一方、ゲーム事業は2015年以降成長が鈍化し、2016~2018年の3年間の売上増加率はそれぞれ61.6%、29.67%、10.77%と著しく下降している。
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ゲーム事業が難航していたこの時期、「Kaola」はネットイースグループ全体の“希望の星”として重要性を高めていく。2016年、丁磊CEOは「今後3年から5年で「Kaola」を500億元(約7500億円)~1000億元(1兆5000億円)規模のビジネスに成長させ、EC事業でネットイースを建て直す」と表明している。

しかし、2018年に入ると「Kaola」の売上成長率は大きく減速を始め、ネットイース全体の成長にとってボトルネックとなってしまった。ネットイースグループの決算発表によると、「Kaola」を含む事業ドメインの2017年売上の前年対比増加率は156%あったのが、2018年第4四半期(2018年10月~12月)には売上の前年同期比増加率は40%前後と大きく下落している。
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期待を寄せていた「Kaola」が2018年に完全に失速したと同時に、グループ全体の利益も圧迫している現状も踏まえ、これが丁磊CEOが「Kaola」に対する態度を変化させる転換点となったに違いないと見られている。
网易(NetEase)の営業収入と成長速度

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「Kaola」を苦しめたサプライチェーンの構築、自社運営のコスト高と偽物問題

「Kaola」には自社運営倉庫のコストが重く圧し掛かっていた。業界関係者によると、「Kaola」は海外及び中国国内の保税区に自前の倉庫を建設して自ら商品の仕入れを行っており、それが「Kaola」の越境ECプラットフォームとしての核心的優位性とみなされていた。

自社倉庫はサプライチェーンを最大限にコントールし、偽物のリスクも抑えることが可能、また上手く運営することができれば、仕入れや配送の効率を高めることが出来る。国内では「京東(Jingdong.com)」が長年自社倉庫の運営で成功しており、信頼性の高い運営モデルの1つとなっている。

しかし、「Kaola」の自社倉庫では、仕入れ先の選別の問題で次々に偽物問題が発生し、サプライチェーンの管理能力が度々疑問視されていた。昨年2月、中国消費者協会は「Kaola」が販売するエスティ―ローダーの全商品が偽物であると指摘し、「Kaola」はこれを否定。商品は全て本物であると主張したが、エスティ―ローダー中国の鑑定結果により、偽物であったことが明らかになった。

また、この一件に留まらず、昨年末に「Kaola」で再び偽物問題が発生。アパレルブランド「Canada Goose」の偽物を販売したとして、再び信頼を失った。これを契機に「Kaola」は商品の自社買付けの規模を意図的に縮小し始め、将来的に仕入れや倉庫内の在庫の削減を決行する計画でいた。

「Kaola」が世界各地で買い付けた多くの商品は、ブランドとの提携契約によるものではなく、ただ現地の代理商と販売契約を結んでいるだけなので、代理商によっては偽物を掴ませる可能性があると業界関係者は言う。

そこでサプライチェーンの強化で「アマゾン中国」の買収を試みるが、条件の折り合いがつかず、このビッグディールが成立することはなかった。2019年の「Kaola」は越境ECプラットフォームとしての成長戦略が見つからず迷走していた。
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「ネットイース」グループ全体の収益構造の見直しで、「Kaola」の“断捨離”決行

「資金を更に投入してこれまで以上の成長を望まず、最後に着実に稼ぐことを選んだ。」

ネットイースグループ全体の収益構造の見直しの中「Kaola」は今年初めにリストラを敢行すると同時に、マーケティング費用の抑制も行った。CFOの杨昭烜氏は、「赤字を出してまでKaolaの成長スピードを求めることはもうしない。成長速度と利益の両方のバランスを取りたい」と語っていた。

これを背景に「Kaola」が引き続き成長を続けるための最良の選択は、外部のサポートを受けることであると結論づけられ、事情を知る内部関係者によると、アリババや拼多多(Pinduoduo)と接触を重ねており、資本提携の相談を行っていたと言う。その延長線上で、アリババは「買」を決断し、ネットイースグループは「売」を決断したという訳だ。

この選択は「Kaola」本体にとって、必ずしも悪い選択ではなかったはずだ。長期的に越境EC事業への投資を継続するアリババは、「Kaola」にこれまでには未来をもたらすであろう。

「Kaola」と「天猫国際」の合併後、両者を合わせた市場シェアは50%を超え、中国の越境ECプラットフォームにおいて絶対的覇者となる。市場の最終決戦を前にネットイースグループはは静かに戦場を後にし、傷浅く逃げ切った。
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