2019年8月8日 更新

【記事コラム】ガバナンス強化のためKOLを一掃した「小紅書(RED)」に新たな“种草”問題。この逆境をどう活かす?

7月29日、「小紅書(RED)」アプリが、「応用宝」、「华为(HUAWEI)」、「OPPO」等スマホメーカー」やアンドロイドのアプリケーションストアからダウンロードできないという報告が相次ぎました。原因は「小紅書」プラットフォームに掲載された違法コンテンツであると推測されており、各コンテンツプラットフォームにとって、KOL(インフルエンサー)が投稿するコンテンツ審査の管理体制強化が課題となっています。「小紅書」及び業界の取り組みをご紹介します。

小红书的“种草”困境
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「小紅書(RED)」の“种草”問題とは?

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「小紅書」は、KOL(インフルエンサー)がSNS上で商品を紹介し、ユーザーの購買意欲を掻き立てる“种草(種蒔き)”のビジネスモデルで成長してきたが、“种草”というトレンドが拡大するにつれ、KOLらが投稿する情報が暴走し、コントロールできない場面が出てきている。

2019年4月、「小紅書」のアプリ上で“烟(煙)”や“女烟”などのキーワードを検索すると、9.5万件の検索結果が現れ、煙草や電子タバコ関連の評価と体験レビューが表示された。

中国では煙草の広告が禁止されており、「小紅書」の煙草広告に通じる投稿コメントは発見と同時に摘発され、すぐに削除されたが、この投稿の背後には多くの煙草関連のマーケティング会社が関わっていることが分かった。

7月29日、あるメディアが「小紅書」が“ヒト胎盤(プラセンタ)”などの違法医薬品を“种草”の方法で販売したと報道した。KOLが投稿した“种草”広告を見た多くのプラットフォームのユーザーが、中国で未承認の“粉毒”や“白毒”といった韓国ブランドのボトックスを購入し、指定サロンで注射施術を受けたという。また、大学の認定機関であると資格を偽り、プチ整形の短期集中クラスの紹介を行っているとも報道し、未だに「小紅書」に掲載されているという。

「小紅書」で不正な“种草”を行ったKOLは、フォロワー数に応じて報酬を受け取り、代理で商品紹介コメントの執筆及び投稿を行っていた。

「小紅書」はこの事件の後、一部のアプリストアからダウンロードができなくなり、違法な医療及び美容の“种草”がその原因だと推測されている。しかし、「小紅書」はこれを否定し、「アプリストアの暫定的なダウウンロード停止には様々な事情があり、会社は主管部門と調整中で、状況は前向きである。今後の進展にご注目頂きたい。」とコメントしている。

昨年以来、コンテンツプラットフォームに対する監視の目が厳しくなり、「小紅書」以外にも、「快手(Kuaishou)」、「火山小视频」、「网易云音乐」、「荔枝FM」、「喜马拉雅火山」などの人気アプリでダウンロードが禁止となった。コンテンツリスクを軽減するために、各社は自社による監視体制の整備や、AIによる運営・審査を行っており、中には第三者機関と契約して審査機能を強化する企業も現れている。

1. 肥沃な土壌に仕掛けられた“种草(種蒔き)”の弊害。「小紅書」の対策は?

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「小紅書」は、6年余りの年月をかけて約2億人のユーザーを集め、2018年の時価総額は30億ドルの価値が見込まれた。その高速な発展とUGC(User Generated Content)プラットフォームの先駆者として、コンテンツコマースを牽引している。

KOLがSNS上で商品を紹介し、ユーザーの購買意欲を掻き立てる“种草(種蒔き)”モデルで発展してきた「小紅書」だが、“种草”効果の拡大後、KOLやその情報が暴走し、コントロールを失う場面が現れた。

今回の事件の対応策として、「小紅書」は新たに「品牌合作人平台升级说明(ブランド契約者に対するプラットフォーム改善説明)」を制定し、プラットフォームの審査を通過したブランド契約者でなければ「小紅書」で、KOLを使用した広告を掲載することができないと発表した。掲載のハードルが引き上げられたことで、2,000名近くのKOLが資格を取り消され、このKOLの一掃行為は一時的なパニックを引き起こした。

他にも、「小紅書」はプラットフォームの審査能力の強化を行った。企業内に数十人の違反チェックチーム及び、500人体勢の審査チームを設け、代理コメントやPV数の不当操作を検閲する100余りのモデルデータを用意した。「小紅書」が発表した2019年第二四半期の「ユーザー投稿不正取締り報告」によると、PV数の不正操作の発見により1日平均4,285件のコメントを削除し、不正操作によるコメント920件を削除した。また、平均して5分毎に18.6件の不正アカウントを削除したという。

さらに、評価システム“小紅心”を打ち出し、ユーザーコミュニティの関心度と店舗販売数の総合ランキングに基づいて選別された商品アイテムについて、この1年間で当該アイテムを購入したユーザーに評価システムへ参加してもらい、日本の“COSME大賞”のようなランキングを発表した。

アプリ「小紅書」では、世界のヒット商品3,702アイテムを“小紅心”システムに取り入れ、現在すでに51万8,296人のユーザーが真実のレビュー評価を行っている。

2. 各プラットフォームが強化するコンテンツ審査管理体制

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2016年6月、「吱呀」や「Soul」など26の音楽プラットフォームが違法な投稿に対し、アプリのダウンロード禁止お及びサービス停止などの段階的処罰を受けた。「网易云音乐」、「荔枝FM」、「喜马拉雅」などの音楽アプリも、今年に入りダウンロード禁止処分を受けている。

2018年4月には、ショート動画アプリ「快手」や「火山小视频」のアンドロイド版も改訂を迫られ、低俗、暴力、ポルノなどの有害コンテンツが発見されれば、直ぐにダウンロードが禁止となる。

コミュニティコンテンツでは、プラットフォームの自己審査と外部機関による監査が基本となっている。企業は厳しい監督の下、コンテンツプラットフォームの審査能力を更に高めるため、新しい方法を模索している。

「抖音(TicTok)」を運営するバイトダンスCEOの张一鸣氏は、かつて謝罪表明の中で、総責任編集制を導入し、全面的な機械審査の欠点の見直しと、人による運営及び審査強化の実施、審査チームのスタッフを6,000人から10,000人に拡大すると発表した。

「今日头条」では、コンテンツの質を厳格に審査する以外に、入力したテキストや文章の関連性についてAIシステムが内容を指数化し、検査結果と合わせて人工による審査を行っている。

「快手」でも、アプリのダウンロードが制限された際に全面改定をおこなった。既存のショート動画について調査を強化し、毎日投稿される動画総数をコントロールする等の7大措置を実施し、審査チームを2,000人から5,000人に拡大した。同社の求人情報にある「コンテンツ審査編集」の職位では"ユーザーが投稿した動画、写真、評価コメントの合法性及びコンプライアンスに合致するかを審査し、ルールを犯したアカウントに対する合理的な処置、コミュニティの健全なメンテナンスを行う"と記載されている。

自社による風評管理体制以外に、第三者機関と提携する企業もある。

各プラットフォームに審査サービスを提供する江洋氏は『燃财经』の取材に対し、「AI審査と機械審査を掛け合わせ、更に人によるチェックも加えて認証する。同時に、対象アカウントに関連するグループやアカウントを紐づけて、更に効率を高めている」と語った。

3. コンテンツ審査の難しさとは?

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外部審査サービス会社の江洋氏によると、現在の審査技術には4つの段階があるという。

第一段階は、ブラックリストなどのリストを元に審査を行う方法で、技術的には比較的簡単なものとなる。いくつかのキーワードを元にAI技術を使ってビッグデータを収集し、関連情報を処理する。

第二段階は、企業の専用システムによるもので、業界の専門家が長年積み上げたリスク管理と業務知識をシステムに反映させ、自動制御する方法だ。例えば、1つのアカウントに対し発信できる広告は50件以内と以内と制限され、それ以上の配信を行うとアカウントが閉鎖される設定を行うなどである。

第三段階は、監督機能のAI学習だ。リスク管理の事例やデータをAIに学習させ、判断モデルを固定化し、絶えず更新を繰り返しがながら対策を行う。例としては、以前に詐欺行為が行われたアカウントやIPアドレスの監視で、ユーザーが不適切なワードや隠語への置き換えを行った場合などに、1,000件の類似テキストから機械的にこのルールを適用し学習する。

第四段階は、審査技術を“無監督機械学習(Unsupervised Learning) ”に導入し、前例のない問題や進化する新問題に対し、機械が検測データを学習していく方法である。
現代の詐欺行為は組織的で、サプライチェーンの上流から下流まで組織されており、1万件のアカウントであってもまとめて購入し、不正情報を発信することが可能である。これらの不正アカウントには若干の異常行為がみられ密接に関係していることが多いため、無監督機械学習はその点を利用して審査を行う。例えば、アカウントの登録時間がある時間に集中している、IPアドレスの発信地がアメリカやベトナムなど定まっていない、アカウント間で取引行為がある、取引金額が一定範囲内であるなどの特徴がある。

江洋氏は、技術面以外でも、プラットフォームの主観的な選択が重大な要素の一つになるという。多くのソーシャルメディアには賄賂など不正問題が存在している。しかし、法の隙間を上手く擦り抜けなければ、プラットフォームの活性度が下がってしまう。そのため、審査を行う上で、ある面では違法な組織的不正行為を抑制しながら、新しいビジネスモデルを開発してユーザー数を拡大する必要がある。もう一方で、プラットフォームは、コンテンツの信頼性とサイト活性度のバランスにおいてどちらを選択するか、取捨選択が迫られている。

4. 虚偽のレコメンド投稿に対し、だれが責任を取るのか?

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「小紅書」でユーザーが違法コンテンツを投稿した場合、その責任はプラットフォームにあるのか?

中国法政大学伝播研究中心の朱巍副主任は、次のように語った。
「小紅書の“种草帖”は本質的には広告である。KOLはコンテンツ投稿によって直接収入を得ているため、2016年『互联网广告管理暂行办法』の規定に基づき、メディアプラットフォームの経営者、広告データ交換プラットフォームの経営者、及びメディアプラットフォームメンバーは、明らかな違法広告、或いは知り得た違法広告に対して、削除等の技術的措置及び管理措置を取る必要がある。」

また、朱巍氏は次のように指摘する。
「もしもユーザーが投稿したコンテンツが、プラットフォームのレコメンドがなく、閲覧数が多くなければ、「小紅書」は責任を負わない。ただし、「小紅書」がレコメンドし、且つコンテンツのPV数や販売額が大きい、或いはユーザーの通報に対しプラットフォームが対応を取っていない、価格ランキング内容に問題がある、販売店の連絡先に虚偽があるなどの状況において「小紅書」は連帯責任を負う。」

「小紅書」のビジネスモデルは、ソーシャルコマースの中で最も成功したモデルの1つと言え、大くのユーザーの信頼を獲得している。現在明らかになった問題は「小紅書」にとって必ずしも悪いことではない。「小紅書」は足元をしっかりと固め、更に高いレベルを自らに要求すべきだろう。きっとそれは運営コストを上げるかもしれないが、ユーザーの信用と商品の品質保障が高まることで、将来の市場シェア拡大に繋がるだろう。
-----------元記事の紹介はここまで--------------

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