2019年6月14日 更新

【記事コラム】農村の青年が1日売上10万元(約160万円) “野生のKOL(インフルエンサー)”が貧困救済、村の希望の星に!?

中国の若者を中心に人気のショート動画を編集、共有するアプリ「快手(Kuaishou)」で注目を集めている農村に住む2人の青年がいます。彼らは「野生のKOL(インフルエンサー)」と呼ばれ、スマホによって自身や村の運命を大きく変えました。スマホ時代のテクノロジーの恩恵に授かり、彼らのような農村の若者たちにも声を上げる平等なチャンスが訪れたのです。

单日卖货10万,拍短视频脱贫,这些野生网红成为“全村的希望”
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蓋宝村の村支部書記“呉玉聖”(左)と内モンゴルの”太平...

蓋宝村の村支部書記“呉玉聖”(左)と内モンゴルの”太平”(右)

ショート動画で毎日3000本の干し牛肉を売った内モンゴルの青年

内モンゴル自治区の北東部に位置するウラガイ(烏拉蓋)管理区は総人口3万人未満、2017年の1人当たりの可処分所得は平均3万3000元(約53万円)。この大自然の中の小さな村で暮らす青年 “太平”は、干し牛肉を販売して生計を立てている。その販売の後ろ盾となっているのが、ショート動画共有アプリ「快手(Kuaishou)」だ。

「天に近い草原」と呼ばれるウラガイ草原、草原に散らばる野生の狼の群れ、炭火で炙られている干し牛肉、モンゴル族の生活風景などの動画を配信し、やや東北訛りの語り口調で内モンゴルの風土を紹介しており、今では17万人のフォロワーを持つ、いわゆる網紅(ワンホン、KOL・インフルエンサーの意味)だ。
太平の撮影した地平線を成すウラガイ草原

太平の撮影した地平線を成すウラガイ草原

太平が「快手」で発信している内モンゴルの大自然

太平が「快手」で発信している内モンゴルの大自然

頭を悩ませていた干し牛肉の販売だが、網紅(ワンホン)になると注文が殺到した。2018年に「快手」やタオバオを通じて販売した干し牛肉は100万本(約2万kg)、100万元を上回る売上を達成した。中国のスーパーセール「双11(W11・ダブルイレブン)」、「双12(W12・ダブルトゥエルブ)」でも、ライブ配信をたった2回行っただけで、農産物やその加工品を20万元近くも売り上げた。数年前にウラガイ草原が映画のロケ地となり、一時人気が沸騰した時でさえ、1日1000元の売上があれば興奮して眠れなかったというのに、ライブ配信がこれほどまでの影響力を持つとは想像を絶したという。
家の一角で1人でやっていた干し牛肉の製造販売は、加工、接客、受注、発送と製造販売ラインを形成し、10人以上の従業員を抱える規模となった。肉類や乳製品の生産、加工、販売を繋いだ産業チェーンの構築、新鮮な商品の販売方法の開発、自身の知名度を利用した販売ルートの確保といった功績により、彼は地元の企業家の模範とされ、彼に習う若者たちも出てきた。また、地元の農民から肉類や乳製品を買い取ることで、村の貧困救済にも貢献している。

民族美女グループをプロデュース、村を貧困救済へ導いた村支部書記

中国の少数民族・トン族(侗族)が暮らす貴州省黎平県蓋宝村。この村の村支部書記“呉玉聖”は、村を貧困から救済する方法のひとつとして、「農民自身で農産物を売ることができないなら、動画共有サイトを利用して販売したらどうだろう」と考えた。

そこで彼は「浪漫侗家七仙女」(トン族の7人の天女)という名称で「快手」アカウントを登録し、2018年2月14日から配信を開始した。最初の1ヶ月は1000人にも満たなかったフォロワー数は、今では15万人と人気を誇る。そこには、おしゃれな民族衣装を纏った平均年齢18歳未満の秀麗なトン族の少女が登場する。彼女たちが魚を捕ったり、野菜を収穫したり、名物料理を作ったりするトン族の日常の姿が映し出され、この純朴な民族風情に視聴者ユーザーたちの注目が集まった。
トン族の綿花工房、再生回数200万回

トン族の綿花工房、再生回数200万回

竹楼(竹を組んだ伝統的な住居)修築を手伝う天女たち

竹楼(竹を組んだ伝統的な住居)修築を手伝う天女たち

バンブーダンス(竹飛び)で遊ぶ天女たち

バンブーダンス(竹飛び)で遊ぶ天女たち

魚を捕獲しようと奮闘する天女たち

魚を捕獲しようと奮闘する天女たち

今や蓋宝村の看板娘となった天女たちは、1日で平均1000元程度の投げ銭(ギフト)を獲得し、月収は4、5000元と、「快手」に関わる以前の月収の3倍以上に上がった。彼は、彼女たちを網紅(ワンホン)に育て上げた後、この「浪漫侗家七仙女」ブランドを通じて、農産物の販売を産業化した。また、竹楼(竹を組んだ伝統的な住居)を修築して古代民族文化を復興させ、新たな観光名所として打ち出した。この戦略が功を奏し、配信開始から1年も経たない2018年末には、村全体が貧困から脱出することができたのだ。

2人の青年が努力した網紅(ワンホン)への道のり

太平は微信(WeChat)を利用しての販売も試みたが上手くゆかず、そんな時、大都市に住む友人から「快手」を紹介された。しかし、配信当初から干し牛肉の販売を始めたわけではなかった。片田舎の青年が販売したところで、「詐欺」だの何だのと叩かれるのではないかと心配し、まずは、ウラガイ草原や動物の群れといったモンゴルの美しい風景を配信し、牛や羊の生育する環境のありのままの姿を伝えようと考えたのだ。

半年ほどすると、「牛肉や羊肉は販売していますか?」とコメントが書き込まれるようになり、この頃から販売に取り組み始め、おのずと順調に運んだ。ターニングポイントは、モンゴル族の民族衣装を身に付けた彼が干し牛肉を炙っているショート動画だった。BGMにはモンゴル民謡が流れ、炭火で燻製している干し牛肉からは脂が滴り落ち、ジュージューと肉の焼ける音が聞こえてくる。この動画で火が付き、微信(WeChat)へ販売の問い合わせが相次ぐようになった。現在、彼の微信(WeChat)の友人登録数は約4万人(8アカウント)、これは実店舗を20年運営しても獲得できない人数かもしれない。
干し牛肉を炭火で炙る太平

干し牛肉を炭火で炙る太平

一方、呉玉聖は、個人で「快手」で遊んでいた当初から、巨大な価値があると認識し、「快手」を利用した貧困救済計画を思いついた。侗家村や盖宝村の根底にある濃厚な民族文化に目を付け、それを利用すれば、手付かずの自然や農産物販売のプロモーションが可能だと見た。

村人たちから疑念を抱かれ、リスクが心配される中、何とか村から5万元の融資を得て「快手」に力を注いだ。まずは、プロデュースする民族美女たちをスカウトしようと、メール、微信(WeChat)、知り合いなど、様々なコネクションを駆使した。「快手」を知らない人には全く相手にしてもらえず、「快手」ユーザーなら比較的説得しやすいが、それでも、理想の天女を見つけるまでの過程は生易しいものではなかったという。
歌の民族と言われるトン族の「 琵琶歌(びわか)」

歌の民族と言われるトン族の「 琵琶歌(びわか)」

インターネットが変えた辺鄙な村の生活

ウラガイ管理区と盖宝村、2か所の辺鄙な村で、2人の青年が「快手」を遊び始めたことで始まった村の改革。「快手」は村全体に一気に普及し、村人一人ひとりの生活を変えた。

太平がライブ配信を始めた当初に“あの子は精神病だ”とあざ笑っていた人々も、今では「快手」ユーザーとなった。太平の業績に感化され、彼に習って牛肉や羊肉の販売を行う者もいる。今年で77歳になる彼の母親も、息子のライブ配信を毎日見ているという。

盖宝村でも、老若男女問わず「快手」を利用し、以前は20人ほどだったユーザーが1年で2000人も増加し、名実ともに「快手村」となった。黎平県の網紅(ワンホン)は「快手」で年収約100万元を稼ぎ、特産品の売上額は約10万元。専業のライバー(ライブ配信者)は20人、兼業者は数百人以上にも上る。

また、「快手」は黎平県内に止まらず、その近県にまで普及し、「浪漫侗家七仙女」の宣伝効果と経済効果を目の当たりにした彼らは、自分たちの村もブランドを打ち出して地元の特産品を宣伝したいと言っているそうだ。
2016年に巻き起こったショート動画のビジネスブームはついに外地にまで広まり、2018年には我々に農村の網紅(ワンホン)の声を届けてくれた。「快手」を上手に利用した青年たちの功績は、農産物の販売を促進しただけでなく、販売が産業したことで新たな雇用が創出し、一方、観光地としても注目が集まり、将来的に観光収入につながるかもしれない。テクノロジーの普遍的な恩恵は平等な発言権をもたらし、我々が見ている動画の裏には、自らの運命を変えようと果敢に立ち向かう活力あふれる若者たちがいるのだ。

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