2019年2月18日 更新

【記事コラム】中国景気減速で“リップスティック効果”が見られる中、越境ECでも海外コスメは好調に売上拡大中

中国経済の成長スピードが減速し、消費ニーズが比較的安価な日用品に集まる“リップスティック効果”が現れています。「リップスティック効果」とは、経済が厳しい時代になると女性は「安価な贅沢品」、とくに口紅に代表される化粧品を好んで消費する、という説のことです。多くの業界が景気減速の影響を受ける中、コスメ業界は変わらず好調な売上拡大を続けており、中でも海外ブランドのハイエンド商品に人気が集まっています。

“口红效应”显现:国际美妆巨头在华业绩一枝独秀
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中国景気減速でも変わらず好調なコスメ業界

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2018年の中国のGDP成長率は6.6%で、この28年間で最低となった。海外貿易が不透明さを増す中、中国市場での売上を見込んでいた大型設備工場や精密部品メーカーは1月末に警告を発表。長期に渡り中国消費者の人気を集めていたiPhoneの売り上げも落ち込んでいる。

中国経済の減速で中国市場を頼りとする多くの外資系企業がその影響を受けているが、コスメ業界の成長スピードには陰りが見えない。海外の多くの化粧品会社は2018年も好調な業績を記録し、2019年も中国の消費者のハイエンドコスメに対するニーズを見込んでいる。

近日、「資生堂」、「ロレアル」、「エスティ―ローダー」などの海外コスメブランドが決算報告を発表し、マクロ経済が中国の消費者のハイエンドコスメ需要を抑制することはなく、中国市場における大手海外コスメブランドの成長が継続すると予測している。

市場調査会社ミンテルのチーフアナリスト・金乔颖氏によると、中国経済が減速するなか、人々は高額の投資や支出を控える傾向にあり、少額な日用消耗品で自分を癒す消費行動が見られると言う。消費欲求は口紅や香水、スキンケア用品など比較的低価格の商品に集まり、経済学で “リップスティック効果”と呼ばれるこの現象は、海外コスメブランドにとって追い風となっている。

中国市場が売り上げを牽引 ~ロレアルと資生堂の事例~

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世界一の売り上げを誇るフランスの化粧品メーカー「ロレアル」アジア地区の売上高は、すでに北米地区の70億ユーロ(約8750億円)を上回っている。

2018年度のロレアルの業績は過去12年で最高を記録し、売上高は7.1%増、そのうちアジア地区の増加率は24.1%であった。同社CEOのジャン-ポール・アゴン氏は、「中国の“W11(ダブルイレブン)”での成功が第四半期の業績を押し上げた。中国の消費者は気前よくお金を使い、ハイエンド商品への反応が良い。2019年も高級スキンケア用品やメイク用品の売れ行きは好調だと見ている。その他の東南アジア市場や空港免税店などでの急速な伸びが、今年全体のアジア地区の業績を伸ばした主な要因だ」と語る。

中国での売り上げはロレアルの業績拡大において既に重要な位置を占めており、同グループ傘下のコスメブランド「ランコム」、「イブサンローラン」、「キールズ」、「ジョージ・アルマーニ」、「ビオテルム」で2桁台の成長を果たした。現在、ロレアルグループ傘下のフランス・ロレアルの売上高は化粧品メーカーの中では中国首位で、「ランコム」はハイエンドブランドで売上No.1である。ロレアルグループの中で中国はアメリカ市場に次ぐ第2の市場となっている。
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日本の化粧品会社「資生堂」にとっても中国は重要な市場だ。

同社傘下の「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポーボーテ」、「IPSA」、「NARS」などの高級コスメブランドが中国やアジアの他のエリアで堅調に売り上げを伸ばしており、中国での売上高は全体の17.4%を占めた。中国市場は成長スピードが最も速いマーケットで、ハイエンドコスメは収益力が高いため、2018年度の資生堂の売上高、営業利益、純利益はすべて過去最高となった。

資生堂CEOの魚谷雅彦氏は2018年の業績発表会で、「資生堂が実施した美容商品の購買意欲に関する調査結果では、消費者の購買意欲は未だ旺盛で、中国で増え続ける中産階級が消費を押し上げるだろう」と表明した。

越境ECサイトや旅行小売(免税店)で売上拡大

中国の旅行市場が好調であるため、免税店などの販売業績も堅調だ。ロレアルの旅行小売業務(免税店など)の売上高は昨年比27.1%で、20憶ユーロ(2,500憶円)の大台を突破した。

資生堂は訪日客のインバウンド消費、中国及び海外の空港免税店などを「旅行小売業」の1市場と捉え、主に中国の消費者を対象に、アジア地区で積極的に越境マーケティングを展開している。
資生堂の「淘宝(Tmall)」ページ

資生堂の「淘宝(Tmall)」ページ

また、越境ECも海外コスメブランドの中国での業務拡大に一役買っている。

ロレアルは、ソーシャルメディアでKOL(コスメブロガー、インフルエンサー)と提携したマーケティングや、「天猫(Tmall)」で動画中継イベントを実施し、2018年度のネット通販による売上額が41%増加。現在ロレアルグループの売上全体に占めるネット通販の割合は11%となっている。

資生堂も中国の大手ECプラットフォームとの提携を強化している。

高価格帯のハイエンドコスメが好調

ランコム(美容液)の中国限定ボトル

ランコム(美容液)の中国限定ボトル

2019年の春節商戦に合わせて発売された中国限定のレッドボトル(760元(約12,000円)/70ml)。上海浦東空港の免税店では春節前に完売していた。
中国市場に海外のハイエンドコスメが上陸してから10年が経つ。

広告による認知度向上、デパートやショッピングモールでの販売ネットワーク拡大、ネット通販の隆起、輸入化粧品に対する減税措置などによってハイエンドコスメは急速な成長を遂げ、「越境EC」、「海淘」、「代購(個人による代理購入)」の発展でこれら商品の消費者層はさらに大きく拡大した。

2018年はミドルレンジコスメの成長率が比較的低かったこともあり、ハイエンド市場の好調をより際立たせた。

中国では、購買能力があり、生活の質を高めたいと考える消費者層が拡大している。価格が数百元~数千元(数千円~数万円)のハイエンド商品は、ミドルレンジ商品と比べてかなりの割高感があるが、それでも求める消費者は多い。ハイエンドコスメを購入する消費者は、高収入の人ばかりでなく、生活の質を高めたいという動機で買い求める人もいる。特に女性消費者は、支出の内訳をやり繰りしながらハイエンド商品を買い求める傾向がある。

「以前はコスメ商品の多くが欧米市場でリリースされた後、中国市場で発売されていた。現在は、中国で先行発売される商品も次第に増えてきており、中国消費者向けの限定商品が発売されることもある。それだけ各企業は中国市場を重視している証だ」とミンテルの金乔颖氏は言う。

長年の市場教育で、中国の消費者はアイテムがより細分化されたコスメ情報に触れ、使用方法もさらに精緻化されている。また、国産コスメの品質向上で、大衆向けの商品ラインナップで競争が激化している。低価格コスメでは中国メーカーが大きなシェアを握っており、そのことが海外コスメブランドがハイエンド商品へと転換していった原因でもあると金乔颖氏は考える。

現在、海外コスメブランドの競争力は高い技術力にあり、研究開発結果は特許申請されて消費者へのアピール材料となっている。金乔颖氏は「今どきの消費者は判断力がある。成分や効能を調べてKOL(インフルエンサー)にサンプルを送り、彼らのソーシャルメディアで広く拡散しても、闇雲に信じてはもらえない。海外コスメブランドが成長を続けるためには、中国ブランドにはない技術で消費者を納得させる必要がある」と言う。
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